鴻朧館
游月山荘

有馬温泉 月光園便り

有馬温泉 月光園よりお得な情報をお伝えします。

七草粥の日です!

今日、1月7日は麗しき日本の暦の上で、24節気の小寒と5節句の人日・七草にあたる日です。

七草粥、召し上がりましたか?
私は朝から梅干と一緒に頂きました!今では大好きです。昔は苦手でしたが。

芹(セリ)
薺(ナズナ)
御形(ゴギョウ)⇒現在の名前は『母子草(ハハコグサ)』
繁縷(ハコベラ)⇒現在の名前は『繁縷(ハコベ)』
仏の座(ホトケノザ)⇒現在の名前は『小鬼田平子(コオニタビラコ)』(キク科の方)
菘(スズナ)⇒現在の名前は『蕪(カブ)』
蘿蔔(スズシロ)⇒現在の名前は『大根(ダイコン)』

この7種類の野菜を刻んで入れたお粥を食べることで邪気をはらい万病をのぞくと言われていますが、豪華なおせち料理で疲れた胃を休めて野菜の栄養素を補うという効果もあるそうです。

中国では7種類の野菜を入れた羹(アツモノ)を食べて無病息災を祈ったそうですが、平安の頃の日本では米・粟・黍(キビ)・稗(ヒエ)・みの・胡麻・小豆の7種類の穀物を入れた粥が食べられていたそうです。

なんだか甘そうですね。小豆入りですし。
きび団子の黍や稗は歴史の授業を受けていた頃、お米の代わりに食べられていた穀物だったと思います。歴史上だとマイナスイメージの強い穀物ですが、現代においてこれら“雑穀”とされる穀物は栄養バランスが良いということがわかったそうです。それを受けてか、最近ではスーパーのお米売り場や薬局の食料品売り場などで黍や稗の姿を見かけます。
ご飯を炊くときに麦や粟・稗などを混ぜて炊くことで食べやすく栄養価を高められているご家庭もあるのではないでしょうか。

小さい頃は蕪や大根が白いお粥の中でシャリシャリして水っぽく感じて嫌っていた私。絶対に逃げられないとわかっていたので毎年あきらめてかき込んでいたものです。お粥で無病息災を祈られても毎年インフルエンザに直撃して、それでもご飯だけは元気に頂く食い意地が張った子供でしたが。

秋の七草と違い、美味しく頂ける春の七草。
今日まだ召し上がっておられないなら今晩にでもいかがでしょうか?

平成20年1月7日(月)

入初式

有馬温泉は『入初式』という儀式を毎年1月の2日に行います。
イリソメシキと読むこの儀式は、神話では大己貴命と少彦名命の2神によって発見されたことから始まった有馬温泉。その後仏僧の行基と仁西により温泉は世に開かれ興されて来たそうです。
この恩に対して礼を尽くすため、毎年お正月の2日に行われるのが、『入初式』。

初湯をもんで適温に冷ます湯も見行事を行い、もみ終わった湯で行基・仁西両師像に沐浴をしていただく。
入初式の歌を歌って、お清めされたお米を若松の枝で白紙に掃き寄せるお祓いを行ったりいたします。

私、本日見て参りました!

行事は温泉寺で“年のはじめの歌”を歌うところから始まりました。歌詞のカードをもらった時『あれ?』と思ったのですが、とても有名な歌です。
『年のはじめの ためしとて
 終わりなき世の めでたさを
 松竹立てて 門ごとに
 祝う今日こそ たのしけれ』

この後神職の方や仏門の方と御輿を担いだ方々が行列となって、有馬町内を小学校まで練り歩きます。
湯もみや神式のあと、仏式で両師の像に沐浴をしていただく時。お役目の方がひと通り名を呼ばれた後が私は好きでした。
外国から有馬へ来てくださった方の中から、アメリカからお越しの女性と、中国からお越しの女性に、両師像の沐浴のお手伝いをして頂いておりました。
ご友人やご家族の方がその様子をカメラにおさめておられる様子がとても楽しそうでみているこちらも嬉しい気持ちになる光景でした。

温泉にいらして、お湯とお料理をお楽しみいただいて、観光。
その中に今回のような儀式ともお祭とも言えるものがあるとき、一緒にお楽しみいただけるということは、また違った想い出をお持ち帰りいただけるように思います。

お祭や儀式、時期名物の頃はどうしても混み合いますが、是非このような楽しみ方もしていただければと思います。

平成20年1月2日(水)
有馬温泉月光園 岡本

放射冷却

有馬温泉も、すっかりと冬らしい気候になってまいりました。
コートとマフラーが必須の季節です。
ここ数年、雪は少なくなってきましたが、有馬温泉は標高およそ360mに位置し、やはり朝夜はぐっと冷え込みます。

今日は、放射冷却についてのお話です。

私は、自宅から車通勤を行っているのですが、毎年この季節には同じ場所で事故を見ます。
今年も、同じ場所で既に大きな事故があったようです。

そこは、国道176号線の「道場〜三田間」で、国道の下を小さな川が流れており、ちょっとした橋になっているのです。明らかに「橋」であれば、土地勘のない方でも警戒するでしょうが、ここは橋であることにも気づきにくい状態。そして、この橋はすごく氷やすい上にカーブとなっております。
私たち地元の人間は、その場所を警戒するのですが、途中の道路が“凍結”を微塵も感じさせない状態であれば、土地勘のない方はスピードに乗ったままこの橋に差し掛かるでしょう。しかも2車線の大きな国道であればなおさらですね。

しかし、晴れていて雨の形跡もないのに突然道が凍っているのは何故でしょう。

これが「放射冷却」によるものです。

それでは、放射冷却とは一体なんでしょう。

昼間に太陽の発する赤外線により、地面が温められる。
太陽が沈んだ瞬間より、地面が蓄えた赤外線を放出し始めます。
これが放射冷却です。

そして、曇っている日には地面が放射した熱を雲が吸収し、その一部を再び地面に向け放射するので地面は冷えにくくなります。

しかし、雲がなく晴れている日は、放射された赤外線が宇宙に放たれ続けます。という事で、晴れている日こそ、この放射冷却による地面の冷え込みが激しくなるのです。

そして、日没からこの冷却が始まるのであれば、朝方の「太陽が昇る前」が一番地面の温度が下がっている事になります。

そして、問題の「橋」に関しては空中にあるため地熱の供給もなく、冷えつづけるのです。

そして、冷えた地面に触れた空気中の水分が凍り、「晴れているのに凍っている」状態が出来てしまうのです。

この、放射冷却による地面と空気の温度差はひどい時には10℃近くになる時があるようですので、「車の温度計が氷点下でないから、地面は凍らない」という考えは間違っています。

しかも、放射冷却による凍結は橋の上に限らず、その日の天気や風、地形などいろいろな状況によりどこで起こっているかわかりません。

ということで、この季節の車の運転には注意が必要という事です。
特に、早朝出勤される皆様はお気をつけくださいませ。

平成19年12月23日
有馬温泉月光園 幸坂

扇の要と、利休七則

さて、昨日のお茶の続きです。
最近の私はお茶を頂いて一度退室した後にあれこれと先生に聞いております。
昨日は同席の方がおり、私はいつものように座ったのですが、

「次客の席の方は、扇の要を下座にしましょうね。」

と先生が仰り、びっくりしました。

相変わらず『気になる事は何でも聞いてみましょう』の私。
お茶が終わって直ぐにひょこひょこ先生の下へ行き、

「何で次客からは要が下座なんですか?」

と質問しました。
正客というのは、お茶席のメインゲストだそうです。
その正客さんは要を床の方へ向けて座り、次客以降の方々は要を下座の方へ向けて座るそうです。

正客と次客以降の方は、お茶碗などのお道具を拝見するときも違いました。
お茶碗の銘などは裏に記されていますよね。
つまり、ひっくり返して見ると言う事です。

正客は右手が上に来るように返し、
次客以降は左手が上に来るように返して見ること。

理由をうかがって、私の脳みそが先生にお返しした理解レベルは

「全部“気遣い”なんですね!」

で、ございました。

「お茶は気遣いです。」

水屋にありますから、利休七則読んでいらっしゃい、と言われました。

茶は服のよきように(飲む時に丁度良い具合に)
炭は湯の沸くように(ちゃんと火が着くように前もって洗い・乾かし・置くこと)
夏は涼しく、冬は暖かに(涼や暖を感じるように支度をしておく事)
花は野にあるように(華道と茶花は違うので、楚々としたままで)
刻限は早めに(時間厳守)
降らずとも雨の用意(傘だけでなく、もしもの時を考えた用意)
相客に心せよ(お隣とだけの内輪話や政治・お金の話はしない事)

迎える側にも招かれる側にも適応される言葉は、一般常識でもある内容です。
ですが、調べたところ、利休さん曰く『それを全て完璧に行う事こそが難しい』

言うは易く行なうは難き・・耳が痛いお話です。
気遣う事は単純な行為でも、だからこそ忘れやすく、それ故に常に注意を払うこと。

・・・頑張ります。

平成19年12月20日(木)
有馬温泉月光園 岡本

有馬温泉大茶会

有馬の大茶会。
茶の湯をこよなく愛したといわれる太閤秀吉を偲び開かれるようになったというこの茶会は昭和25年から始まったそうです。
今年で58回目を迎え、開催場所は3箇所。

11月2日と3日の2日間行われ、

裏千家の先生方がそれぞれの場所でお茶をたてて下さるそうです。

また、11月9日・10日・11日と16日・17日・18日の合計6日間。
瑞宝寺公園の中央広場で野点が行われるとのこと。
こちらの名前は「有馬温泉もみじ茶会」
なんともかわいい名前です。

さて、この瑞宝寺公園ですが、
園内には2500本の楓があり、その紅葉はいっせいに訪れるそうです。
なんとも仲の良い楓たちですね。

かつて太閤秀吉は千利休と度々ここを訪れ茶会を催したとのこと。
「日暮の庭」と言って太閤が好んだ有馬の風景を眺めながら
ゆっくりとお茶を楽しむひと時も、
芸術の秋としてまた楽しいのではないでしょうか。

散策や観光にも適した気候です。
紅葉を楽しみながら、お茶を楽しんでみられるのもまた
穏やかに秋を感じる方法としてよいかもしれませんね。

大茶会や有馬温泉もみじ茶会の詳細は有馬温泉観光協会で見ることができます。
ぜひご一考くださいませ。

平成19年11月1日(木)
有馬温泉月光園 岡本